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第一章
第二章
第三章
あとがき
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私は答えられず、いつも黙ってしまう。
「教えてください。お客様は、ご存じのはずです」
身を乗り出し、彼は私に答えを迫ってくる。
「だって、あなたも売ってくださらないじゃないですか。
売りにきたはずの、ご家族との思い出を」
私はカウンターの上で指を組んだ。 去年も同じやりとりをした。 こうして、面と向かって。
「いいえ。私はあなたの珈琲を、ただ飲みにきたのですよ」