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私はバッグを開け、いつも持ち歩いている赤い靴をカウンターに置いた。
いつだったか、娘にプレゼントしたお菓子が入っていたおもちゃの靴だ。
空っぽになった後、サンタクロースからプレゼントをもらうために、幼い娘は毎年毎年、この靴を枕元に置くようになっていた。
今年は何をあげよう。
私はこの小さな靴に入るプレゼントを考えるのが、楽しみだった。
「でも、ある年帰ってみたら、音楽が消えていたのです。いつも私を出迎えてくれたこの曲が、家族と一緒に……
部屋に残っていたのは、娘にあげた、この赤い靴だけです」
家族がいない空っぽの家に帰るため、私は毎年、この街に戻ってくる。
虚しいだけだとわかっていても、この赤い靴が私を連れてきてしまうのだ。
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