すぐ後ろに巨大なモニタが出現していた。
思い出した。
この店に、ブレンドはない。
そのことを、店主であるこの男も覚えていないのだ。
「ああ、これはですね、<神様>です。
世界中のありとあらゆることをご存じなのですよ。ですから、こうやって……」
毎回毎回、彼は検索しながら同じことを言う。
「どうも私は物覚えが悪くてですね、記憶していることといえば、珈琲の入れ方と、ここにある豆のことぐらいなんです。
ですが、不自由ないですよ。
わからないことは、この<神様>がすべて教えてくれますから」