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「なるほど、わかりました」

マスターはパチンと指を鳴らし、曲を止めた。

「お客様にぴったりの珈琲が、今、浮かびました。お任せいただけますか?

きっと、お気に召すはずです」

私の返事を待たずに、マスターは珈琲豆を選び出した。
顔をあげ、空中にずらりと並んだボックスのひとつを、迷うことなく指さしたのだ。

どういう仕掛けかわからないが、並んだボックスがパズルのように動き出し、選ばれた一箱が、カウンター内へと降りてくる。

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