top of page

考え込んでいた私の耳に、聞き覚えのある音楽が緩やかに流れ込んだ。

この厳かで美しいメロディは……

<神様>の選曲に間違いはないと、若いマスターは自信を持って言う。


クリスマスイヴに、たったひとりで珈琲を飲みにくる、若くもなければ年寄りでもないこんな男には癒やしの曲だろう。

だが――

なんでも知っている<神様>は、私を知らない。
だから、毎回、お願いすることになる。

「マスター。この曲、やめてもらえませんか」

Silent night - F.X.グルーバー作曲/DTM打ち込み
00:00 / 00:00

010

bottom of page