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「じゃあ、ブレンド」
「は?」

メガネの奥で、彼の目が丸くなる。
律儀そうな細面の顔には、困惑の色が浮かんでいる。

「あの……ブレンド……でございますか? ……少々お待ちください」

首を傾げながら、彼はカウンター下に手を伸ばした。

「カチリ」とボタンを押す音に続き、背後で「ぐぃーん」と耳障りな機械音がする。

私は振り向き、「あ」と声を上げた。

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